ジャパンタクシーを現役タクシー運転手が評価してみた

ジャパンタクシー

ニュースでジャパンタクシーが発売されたということを聞きました。以前からジャパンタクシーというタクシー専用車両がトヨタから発売されるということは知っていて、おおよその形も公表されていました。そして満を持して今回発売されました。サイトからの情報ですが評価してみたいと思います。

関連記事:トヨタ ジャパンタクシーの車いすの乗せ方に問題ありすぎ

JPN TAXI (ジャパンタクシー)とは?

トヨタが発売したタクシー専用車のこと。以前から開発をしているというニュースは聞いていましたが2017年10月23日に発売されました。

発売前の情報通り丸みを帯びたデザインになっていますね。新しいデザインの評価は分かれるもの。今後どんな評判になっていくか楽しみですね。

JPN TAXI

TOYOTA、新型車JPN TAXIを発売
-日本の「おもてなしの心」を反映した、様々な人に優しい次世代タクシーを投入-
http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/19121010/

ジャパンタクシーはシエンタベース

シエンタ
大人気車両のシエンタ wikiより画像引用

以前からシエンタベースの車両になるということは聞いていました。エンジン型式やラゲージスペースの開口部を見る限りシエンタベースに違いありませんね。

ただジャパンタクシーは人気のシエンタベースとは言いながらも大幅な変更を加えていますのでシエンタの外側だけ変えただけではなさそうです。

ジャパンタクシーはLPGエンジンのハイブリッド

タクシー会社にとって燃費がいいことは良いことです。ハイブリッドを採用することによって燃費向上。そして停車時の静かな状態はお客さんにもタクシー運転手にも優しいシステムと言えます。信号で停まっている間だけでも振動がなくなれば疲れも軽減されます。

燃料はガソリンより安価なLPG採用でコストを抑えられます。ガソリンエンジンよりLPGエンジンの方が馬力は下がるけれど長持ちすると聞いています。その点でもタクシー会社に優しい燃料を採用しているといえますね。

LPGエンジンを利用する必要はあるのか?

ヤマト運輸やセブンイレブンの納品者など運送関連業者では今でもLPGを利用している車両は多いです。ガソリンで良いといえば良いのですが、LPGは現状でも悪くない燃料ですので継続して採用することは最善の選択だと思います。

ハイブリッドより耐久性を求めるべきではないのか?

電池や整備費用のかかるハイブリッドよりシンプルなエンジンだけのほうがメリットがある気がします。確かにハイブリッドではないほうがコストはかからないかもしれません。でもそれ以外にメリットがあるから採用したに違いありません。

ジャパンタクシーはオリンピック開催に向けて準備された車両だといえます。その世界に向けたトヨタのタクシーがハイブリッドを採用していないとなると不思議に思われるかもしれません。

ジャパンタクシーのハイブリッド採用はトヨタと日本の技術力を示すために必要なのかもしれませんね。

外観ははっきり言ってダサいぞ

コンセプトの日本タクシーという意味では確かにジャパンタクシーだと思う。でももう少しかっこよくならなかったのか?ダサいにもほどがある。

でもさ、かっこよくすればいいだけであったらこんな車でもよいのか?

写真はメルセデス・ベンツのコンセプトカーだけどかっこいいけどなんか違う。タクシーではないし日本のタクシーではない。ではもう一度ジャパンタクシーを見てみよう。

JPN TAXI

うーん。確かに何か安心感を覚えるデザインなのは間違いない。

こうしてみるとジャパンタクシーは日本のタクシーという独自路線を進んでいるのかもしれない。スポーツカーやコンセプトカーのようにかっこいいわけではないけど、おもてなし文化に適したデザインになっていますね。

個人タクシーにもVIPカーのようなイカツイ車でタクシーをしている人がいます。僕はそんなVIP個人タクシーを見るとタクシーではないよなぁといつも思っています。ジャパンタクシーはそんなVIPカーを否定した路線ということでしょうね。

ドアミラーではなくフェンダーミラーなのは?

フェンっだーミラー
写真はフェンダーミラーのクラウン・コンフォート

ドアミラーではなくフェンダーミラーはデザインより機能性を重視しているのでいいと思います。今のクラウン・コンフォートもフェンダーミラーです。

ドアミラーはデザイン重視で採用されたそうです。運転中に視線をあまり動かさずに後方を確認できるフェンダーミラーはタクシーに適しているミラーですね。

ただフェンダーミラーより、ドアミラーのほうがバックしやすいと思うのは僕だけでしょうか?ミラーを見ながらのバックはドアミラーのほうがやりやすいと思います。

ジャパンタクシーのドアは使いやすいのか?

ジャパンタクシーのドアは左側が後部座席が電動スライドドア、助手席側がヒンジドア。右側運転席と運転席後ろがヒンジドアですね。お客さんが乗るドアがスライドドアになっているのが大きな特徴と変化といえます。

一般車両ではスライドドアは常識になっていますが、タクシー車両では目にすることがあまりありませんでした。開口部が広くて乗り降りしやすいという面ではスライドドアの車はタクシーに向いているのかもしれません。

スライドドアのメリットや利点などは他でも紹介されていますのでここでは触れません。僕はスライドドアのタクシーで乗務した経験もありますのでその経験から評価してみますね。

スライドドアは開口部が広くて乗り降りしやすい

スライドドアは建物の横開きドアと同様に開口部が広くなって乗り降りがしやすいです。ヒンジドアだと全開に開けても間口は狭いですね。

道の端に寄せてドアを開けるスペースが狭くても降りられる

ヒンジドアだとドアが開くスペースや障害物を考慮しながら止めなくてはいけません。でもスライドドアだとかなり寄せても壁際でドアが開きますし、お客さんも簡単に降りられます。

バスも電車も横開きドアですので今後はタクシーも横開きのスライドドアが主流になってくると思います。

スライドドアはドアの開け閉めが遅い

電動スライドドアはドアの開け閉めが遅いのがデメリットです。幹線道路や交差点付近など混雑している場所でお客さんに乗降してもらうときに時間がかかります。

ほんの数秒の話ですがヒンジドアと比べると大きな差を感じます。文字にして表してみると、ヒンジドアはバン、サッ、バン、ゴーという感じ。電動スライドドアはガチャピーーーーーーー、ヨイショ、ピーーーーーーーガチャ、ゴー・・・という感じ。わかる人はわかると思います(笑)。

アシストグリップはお客さんにとっては安心

タクシーは電車と違い中腰で乗り込みます。スライドドアでも同じく少し頭を下げて乗り込みます。その際に体のバランスが不安定になりますのでアシストグリップがあるのは安心できますね。

天井サーキュレーターは快適すぎるぞ

タクシーはお客さんを乗せる乗り物です。でも空調などの快適装備は運転手側や前面にしか付いていません。

ジャパンタクシーは後部座席のお客さんにも空調が効くような配慮がされているのはよく考えて作っているんだなぁと感心しました。

今後はお客さんを乗せるためのタクシーには後方に空調設備がついていることが当然になると思いますね。

運転席側についているサイドレジスターは欲しかったのよ

サイドレジスターとはエアコンの吹き出し口のこと。ハンドルの右側に設置されています。

運転手とお客さんは暑かったり寒かったりと感じる温度が違います。しかも短時間で乗り降りするお客さんと乗務員が同じ室内温度を求めていることはありません。

ジャパンタクシーのサイドレジスターがあればお客さんとは違う空調管理ができるようになるかもしれません。これで暑いや寒いの対応にも困らなくなるかもね。

右側後部座席の窓があかないのはマイナス点

左側のお客さんが乗る位置の窓が開かないのは最悪ですが、右側ならマイナス点くらいですかね。対向車線側の窓があかなくても問題ないともいえますが、開かないより開いたほうがお客さんのためでもあります。

少し外の空気を吸いたいとか、気分がすぐれないときなど、窓を開けて外の空気を感じたいときもあります。今後は窓を開けられるように改善してもらいたいですね。

掃除しやすい合成皮革シートは助かる

タクシーのシートは多数のお客様が乗り降りします。中には飲み物をこぼされたり嘔吐物だったり・・・

僕は合成皮革シートもファブリックシートも乗務で乗ったことがあります。その経験からいうと乗り心地や短期的な使い勝手ならファブリックシート。タクシーで長期間不特定多数のお客様が使うなら合成皮革シートが適していると思います。

何より絞った雑巾でゴシゴシ拭いて掃除できるのが良いですね。ファブリックシートの布だとなかなか落ちないし、匂いも取れない。ですからジャパンタクシーの合成皮革シートはよいと思います。

ハザードスイッチがハンドルについているのは超便利

タクシーは急に車を停車しなくてはならない時があります。危険ですので急停車はしてはいけませんけど、やっぱりどうしてもすぐに停止する必要が出てきます。その場合にハザードランプを点けて後方車両に合図したほうが安全です。

いまのタクシー車両ではハンドル右側ウインカーのさきっぽにハザードスイッチが付いています。これが便利なのです。これだとハンドルを握りながらウインカーを左に出しつつほぼ同時にハザードスイッチを押すことができます。

一般車両ではセンターパネルあたりにハザードスイッチがついていることがほとんどですよね。ハンドル位置から離れているとハザードスイッチを押す時にハンドルから手を離さなくてはいけません。ようするにハンドルからハザードスイッチが離れていると即座にハザードスイッチを押す操作が困難なのです。

でもジャパンタクシーのハザードスイッチの位置はハンドルに付いています。この位置であればハンドルから手を離さなくてもスイッチ操作ができます。これはよく検討して採用したなぁと感心しますね。

ラゲージスペースは半空きなど柔軟性がなさそう

ジャパンタクシーのラゲージスペースはいまのタクシー車両より容量は大きそうですね。でも気になる点があります。

セダンの上空きタイプのトランクだと入り切らない荷物も半空きにしてゴムどめで対応できました。でもジャパンタクシーは完全に閉まらなくてはいけません。この点は変則的な大きさの荷物や数が多かったりすると対応できない気がします。

でも結局は安全のためには完全に閉まって運行するほうがよいので問題ありません。でもいままでのタクシーだったら無理やり載せていた荷物も載せることが難しくなりそうですね。

エアコンがオートエアコンなのは良い

オートエアコンとは温度設定をすれば自動で風量などを調節してくれるエアコンのことです。逆にマニュアルエアコンとは運転手が風量などを調節する必要があります。

タクシー運転手とお客さんだと快適な温度が違います。ですからマニュアルエアコンだと運転中に自分とお客さんの快適温度を探りながら操作する必要があります。

でもオートエアコンなら温度設定をしておけばタクシー運転手が操作することはありません。お客さんに涼しくしてや暖かくしてといわれれば設定温度を変更するだけ。簡単です。

運転以外の操作が減ることは安全のためにもよいですよね。マニュアルエアコンだとなにかと気を使って大変なんです。

フロントピラーが細い!

1日に何度も右左折をし、横断歩道を横切るタクシーにとってフロントピラーが細いのは安全のためにもすごく助かります。

僕も運転中にはピラーの影に隠れているかもしれないと気をつけてはいますけど、見えないピラーから突然現れるとあせります。

見えないということはいるかもしれないけど見えないからいないと判断して進むしかありません。でもちょうど車の速度と一緒にピラーに隠れて移動していたりするんですよね。

ピラー対策の細かい部分に配慮が行き届いているジャパンタクシーはよく考えられているなぁと関心します。

3分割バンパーはコスト削減に助かる

タクシーは角をこすります。こすった場合タクシー運転手には少なからず負担が生じます。その場合の負担が減るというのはとても助かります。

全面一体型のバンパーだと角をぶつけたら補修できなければ全交換になります。メーカーに取ってはバンパーが売れるのでメリットかもしれませんが、タクシー運転手やタクシー会社にとっては負担でしかありません。

こういった顧客目線で製品を作っているトヨタはさすが日本を代表する企業だと思います。

ヘッドランプの交換コストが削減できて助かる

ネットで見ただけだと詳細はわかりませんが、ヘッドランプの交換コストも押さえられる構造になっているようです。これは3分割バンパーと同様にタクシー運転手とタクシー会社にとってコスト削減になるとてもよい作りだと思います。

こういう細かい部分の配慮は地味なアピールポイントですがユーザー間で徐々に浸透しメーカーの信頼につながるのだと思います。ちょっとした配慮ですがタクシー会社の車種選択の大きな判断材料になることは間違いありません。

関連記事:自動運転によってタクシー運転手の仕事はなくなるのか?

ジャパンタクシーはタクシーのためによく考えられた車両だった

トヨタからタクシー車両が発売されるというのを聞いて、どうせベース車両に行灯を載せただけだろうと思っていましたがまったく想像と違っていました。

細かい部分も考えられていてタクシー運転手も気が付かなかったメリットを付け加えていたりします。規格からタクシー運転手にもリサーチして開発されたんだなぁと感心しました。

今後は東京オリンピックに向けてジャパンタクシーを増やしていきたいそうです。僕も街で見かけたら手を上げて乗ってみたいと思います。

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